あなたくれない
戸惑う私を面白いものでも見るかのように女子生徒は眺めて、
「光本さん、あんた、しくじったね」
と、ニコニコしている。
「もう居場所なんかないよ」
「えっ……」
「琳音の敵は、女子みんなの敵だもん」
女子生徒はクスクス笑って、校舎へと歩いて行く。
教室に入れば、女子達のひそひそ話が聞こえてきた。
「えー、あんなに大人しそうな人なのにね」
「人は見かけによらないって本当なんだね」
「琳音の気持ち、知っていたはずなんでしょう?」
「光本さんって、最低な人だよね」
居心地の悪さに、私は鞄を持ったまま教室を出た。
授業が始まる時間になっていたけれど。
どうでもよくなって、サボることにした。
高校の校門を出る。
「どこに行こう?」
サボりなんて生まれて初めてのことで、どこに行けばいいのか見当もつかない。
とりあえずバス停に向かう。
このまま自宅に帰ろうと思った。