あなたくれない
「だっておかしいじゃない。その小学生達が“くれない様”を目覚めさせた時から、今回まで、“くれない様”は目覚めていなかったんでしょう?」
「奈緒子、落ち着きなさい」
「母さん、考えてもみてよ! その事件から今の今まで、“くれない様”の怒りは鎮められていたんだから! 穂希が助かる道があるはずでしょう!?」
「……奈緒子、これはそんなに簡単な話じゃないんだよ」
「どうすれば穂希は助かるの? 私はどうなってもいいから、母さんっ、この子を助けてよっ!!」
お母さんが叫ぶように言い、おばあちゃんにしがみついた。
私はただ、黙ってそれを見ていた。
お母さんも。
おばあちゃんも。
泣いていた。