あなたくれない
「穂希を助けたいのは、私も同じだよ」
と、おばあちゃんが言った。
「母さん……」
「奈緒子、ここで穂希を集会に出席させるのは心苦しいことだけど、私ら家族の踏ん張り時でもあるんだ」
お母さんは頷く。
「逃げてはいられない。穂希もそれはわかるね?」
「うん」
「みんなで立ち向かうんだよ。村からも、“くれない様”からも、穂希を守ろう」
おばあちゃんはそう言って、みんなを順番に見た。
その目が。
つらく、悲しい目をしていて。
(あぁ、私は助からないのかもしれないな)
そう思ってしまった。
村の集会は、夕方六時半に自治会館で開かれる。
何時に終わるかわからないから、早めに夕食を食べて。
私達は自治会館に向かった。
自治会館の大広間で集会は開かれる予定らしい。
おばあちゃんを先頭に、お父さん、お母さん、私の順番で大広間に入って行く。