あなたくれない

「来たな! 疫病神め!」



そう言ったのは、琳音のおじいちゃんだった。



「孫を返せ!! 今すぐ!!」



琳音のおじいちゃんが私に向かって、何かを投げつけた。

軽い衝撃。

頭に当たって、それが大広間の畳に落ちる。



(飴玉……)



「何をするんですかっ!」
と、お父さんが私を背中に庇って言うと、
「そんな痛み、琳音の痛みに比べればどうってことないでしょう!?」
と、琳音のお母さんが私を睨む。



(おばさん……)



琳音の家に遊びに行くと。

おばさんはいつもお菓子を用意してくれて、優しい笑顔で接してくれていた。

琳音のおじいちゃんだって。

小さな頃は、よく構ってくれていたのに。



遠い昔のお正月に、コマ回しを教えてくれたのは、琳音のおじいちゃんだったことを思い出す。



「まぁまぁ、今はちょっと抑えてください」
と、村で本屋をしている、村井(むらい)のおじさんが言う。



「あんたに指図される(いわ)れはない!」




琳音のおじいちゃんが憤慨するように言った。
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