どうせ、こうなる運命
「どうして、助けたんですか!!!!!」
「あ?黙れうるさい」
「…ああ、すみません、」
確かに大きかったのはある。でもそっちが声出せって言ってきたのに。
やっぱり、この人は、頭のおかしい人だと確信した。
急に口調の変わる男の声に、膝の上に置いた自分の手をぎゅっと握りしめると、男は急に、ゲラゲラと笑い出した。
「ははは。うそうそ」
「…はい?」
「助けた理由、それ」
意味がわからずポカンとしていると、男はポケットからライターと煙草を取り出す。
煙草にライターをつけるところから、白い息を吐く一部始終まで、じーっと見ていた。
…ああやって、煙草って吸うんだな。
なるほど、と心の中で頷く自分がいた。
「ん?なに吸う?」
「はぁ!?私が!?吸うわけないしっ………て、あ、……すみません、ごめんなさい」
暴言は治しなさいとあれほどにまで言われていたのに、もう今は、言われることもないからか油断するとつい口から出てしまう。
もう、暴言を治さなければならない理由もないだろう。注意を言われることもない、か。