どうせ、こうなる運命
「じゃあ、名前は?」
「…なつ。零堂 夏《れいどう なつ》です」
はぁ…、
心内で大きなため息を漏らす。
言いたくなかった、ほんとに、嫌だった。
でも、口から出せば楽なものだった。
…夏。
庶民一般的に使われる、普通の名前。
別に、私はキラキラネームを望んでいる訳でもないし、そんなの、名前なんて自由だ。
気にする必要なんて、何もない。
…でも。
この世界が腐りに腐っているのか、
私に冷たい言葉を浴びせてくる人がいる。
暇潰し感覚で言っていることはわかっていたとしても、私は、この名前で精一杯に生きていた。だから、心の傷はいつの間にか増えていた。
―あんな金持ちお嬢が俺らのこと見下してんのに、普通の名前だな??
―俺の方が賢そうな名前じゃね?
―笑える、まじ、消えればいいのに。
中学までは普通の学校に通っていたから、そう、身分的に言われることは毎日だった。行動する度に、何かと言われる日々。
卒業してからも、言われることが恥ずかしくて、自分が心底情けなく思えていた。
私も、この名前が嫌いだった。
呼ばれたくなかったし、言いたくなかった。
…あなたは、どんな反応をする?