どうせ、こうなる運命

1.どうせ、こうなる運命



―下水道の匂いがする。

 
死んでもいないのに、この刑務所、いや牢獄は、地獄そのもののようだった。

鼻から息を吸う度に臭くて、腐った卵のような匂いがする。それはそれは強烈な匂いで、たまにめまいを催すことがある。


息すらも油断禁物なこの牢獄に入って、もう1ヵ月が経過しているはずなのに、頑固な体は、この環境に慣れてくれないでいた。



まあ、頑固なのも無理はない、か。

…何せ、私は有名な財閥の娘だから。

だった、じゃない。過去形じゃいられない。



牢獄に入った私は今でも、有名な家柄で生まれ育った、いわゆるお嬢であることは変えない。

そんな頑固な思いは、自分は強い心持っていたとかそんなんじゃなくて、むしろその逆で、弱くて脆い証に過ぎなかった。









ここは、比較的、自由な刑務所であった。


地獄のよう、と言った私に矛盾が発生するが、地獄なのは匂いだけである。

私の想像していた刑務所とは、全くもって優しく安心した記憶がある。


牢獄なことに変わりはないが、自由がある。


最新の刑務所整備が備わっており、絶対に囚人が脱獄など実行できないよう、様々な脱獄パターンを考え、建物には、頑丈な整備がしてあるらしい。それに、食堂や廊下、囚人部屋前の廊下など、所々に刑務官が見張っている。


身勝手な行動はできないようにされているが、脱獄はないとされ自由らしい。


―同じ部屋の囚人が話していた噂を聞いた。


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