どうせ、こうなる運命


…全部全部、ないように生きる。


感情は、消せ。そんなものはいらない。

刑務所から出てからも、これからのお前の未来は、もう、ないんだから。

どうやって生きればいいのかわからないなら、もう、感情なんて消してしまえばいい。


…だけど、そう思えば思うほど、頭と目の前が真っ白になっていく。


刑務所から出ても、変にSNSとか、そんなんで笑い者にされる、人生なのかな、。



…矢浪、海。



あの男は、不思議な人だ。


何故、私を知らない?

部屋に当然のようにあったテレビとか、見ないの?


今にも、テレビを付ければ何らかのチャンネルで私や私の姉が映っていることだろうに。


…私を、バカにしてるのかもしれない。


本当は私が犯した罪や私の成り立ちを知っていて、面白いそうと思ったから、私に近付いてきて、変なヒーロー気取りになった?

いかにも女を騙して金を儲けそうな、あのクズそうな見た目からは、容易に想像できる。


…嘘つきだらけだな、とつくづく思う。


たったひとりで、怖くても辛くても、どんなに不安でも、生きていかないといけない。


そうなんだ、そうじゃなきゃ、駄目だった。


…はは。別にいいよ、誰も信じないから。



気付いたら、私は眠りに落ちていた。







―カーン、カーン…


大きな鐘の音と共に、刑務官の声が目覚まし時計のように聞こえてくる。決まって、6時50分に起こしにくる。
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