どうせ、こうなる運命
私のいる部屋の前だけは、妙に小さな声になっている刑務官の行動が、気掛かりだが。
目を覚ますと、視界には、割れ目の入った、今にも落ちてきそうな天井がある。
ゆっくりと体を起こして、辺りの状況を理解する。
「…朝、か」
そうポツリと呟いて、
窓の金属棒から僅かに漏れる光を見つめた。
いつも通り、この部屋でちゃんとした時間に起きているのは、私ひとりだけだった。
プライバシーも重視され、刑務官が直接ここに入ってくることはないらしい。別に寝ていても気付かれないため、他の囚人らは、平気で寝ている。
「…夢じゃない、か」
今を実感して、ひとりで心を痛める。
また、昨日と同じ今日を生きるのか。
いや、昨日はいつもとは少しばかり違っていた。
灰色の囚人服に付いていた毛玉を軽く取ってから、部屋を出る。
「あ、おはようございまーす!」
部屋の前に循環していた男の刑務官に私は、試しに、笑顔で言ってみる。
他の囚人にはこうだ。
「あぁ?」
「黙れ」
「容易に喋りかけるな」
そんな目を向けるが、私には、こう。
「あ……おは、おはようございませ、す」
急に焦り出すし?かみかみだし?
あー笑える、本当に、笑える。
バカみたい。