どうせ、こうなる運命

その扉は案外軽く、すぐに外へ出られた。

足を地面に付けると、足裏からチクチクと痛みが伝わる。緑の人口草が広がっていて、裸足だったせいだ、足裏が地味に痛む。


…でも、そんなこと、どうだってよかった。



「うわぁ…やっぱりあったかい……」



体全身が熱気に包まれる。

青くて白い、夏の匂いがした。


季節としての夏に匂いなんてしない。それなのに、どうしてか、夏の匂いは存在している。


空は、青に満ち溢れている。雲ひとつない晴天で、容赦なく日光が体に差してくる。

日焼けをすることを心配したが、長袖の囚人服でよかったと、我ながら初めて思えた。


太陽の光を直射的に浴びたのは久しぶりだからか、ものすごく、眩しい。思い切り目を開けることも出来ず、半目状態だ。


ずっと、金属棒と窓ガラスを境にしか、光なんて浴びれてなかったから。


一応、この刑務所にもグラウンドはあるけれど、労働もする必要がなく、体なんて動かさなくていいとどこか意地を張っていた私は、十分に日光を直接浴びる機会がなかった。



しばらく、ぼーっと空を眺める。



まるでそれは、1枚の絵のようで。

掴めそうで、全く掴めなくて。


私の小さな手では到底覆いきれないけど、眩しいので、手で太陽を隠してみる。

そのまま、太陽を掴もうと手を伸ばしてみる。

手は、思い切り空を切って下へ落ちる。



その時だった。

人の、足音がした。



逃げようか、それともこのまま空を眺めておこうかと迷っていると、考えている内に、時間はすぐに経っていた―




「また会ったね、お嬢様?」

「…」

「あれ、裸足?寝起き?」




目を向けると、誰かと、ばちりと目が合う。

センター分けの髪は、汗をかいたのか、少し、濡れていた。よく見ると手は土まみれで、片手にはスコップが握られている。



「お嬢様、太陽は掴めた?」



寝起き、裸足、太陽掴み…、

次々に来る言葉達が私を攻撃してくる。

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