どうせ、こうなる運命



「あのお嬢様が来てからじゃない?」



皮肉な口調で、赤髪の女は、ニヤっと笑う。

隣にいた女はすぐに反応し、「そうよねぇ」、と私のことをこっそり見ながら、また、ニヤッと笑う。

完全に目が合ったが、気にしないこととした。



「自由に食堂も行けて、映画も見れて。ムチで叩かれながら行くこともないのねぇ??あのお嬢様にまじ感謝すぎ~~」

「やっぱ、あの高貴で有名な財閥様のおじょーが刑務所来るとか思わないしね??笑える。警察もびびってんじゃーん」



私が入ってきたから、ここは、自由に食堂や図書館に行けるようになったってこと。


その前は、自由なんて言葉すらもなかったらしい。


どこへ行くにも刑務官に手を上げ大声を上げ、聞こえなければ「もっと声を出せ!!!」と叫ばれムチで叩かれ……

トイレや週に3回程のお風呂も、連行されながら行っていたらしい。

労働だって強制的で、手を止めたらグーで殴られ……と。それを聞いて、まるで人間なんて扱われていないみたいだと思った。


自由な食堂ができたというのも、私が来て、丁度の時期だったらしい。


労働で貯めたお金で食べ物が変える。


でも、私は、労働なんかしていない。

何故かって?


刑務所に入ってきてすぐの時、手招きされ、誰にも見えないような橋に呼び出された。



「内緒にしておけ」



そう、どこか控えめに耳打ちして。



「これをお使い下さい」



なんて、ご丁寧に、ラップのようなものに包まれた、大量の札束をくれた。


私だから、労働しなくていいってこと?

これがお嬢様扱い、か。

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