どうせ、こうなる運命
なんだか、お宝を見つけてはしゃぐ子供みたい。
…まあ、渡して、よかったのかな。
「ナツって、手持ちの金、ゼロだよな?」
「あ、まあ、はい」
「へぇ、いいんだ?俺に貢いで」
「別にいいですよ、」
私だからって理由でお金もらえるんで、と口走る前に、口を噤む。
「ご飯代は?お金ないと困んないの?」
お金に目を落としたまま、地味にだけど、私を心配してくれていることを察する。
まあそりゃそうだ、手持ちの財産を全て預けたんだから。意味のわからない利点付きで。
「別に」と真顔で素っ気なく返すと、「なんで?」と首を傾げて聞き返してくる。
「食べないの?刑務所のご飯まずいから?」
「い、いや、そういうわけじゃ」
「そっか。じゃあ、ありがと」
暑かったから早く帰りたい、という単純な理由からか、カイが深くは聞くことはなかった。
止まっているだけでも身体中から汗が出てくるほどだし、と勝手に納得をしておく。
その時、頭に、何かが乗った感覚がした。
「…えっ」
意外と高い身長に、見下ろされている。
「言ってなかったけど、俺、捕まった理由、女を騙しに騙しまくった詐欺師だから」
カイは、私の頭を子供のように撫で回す。
…これって、頭、なでなでされて…る?
頭が回らなくなる。急なことで、男性に、何をされているのか、理解できなかった。
「俺、クズだから気を付けなよ?お嬢様」
ポカンとする私に、カイはにこっと笑った。