どうせ、こうなる運命
ここは私にとって、別世界みたいなものだから。そう、今まで生きてきた世界とは違う。
ここでは、罪を犯して、ただ、生きるしかない人達が、ここにいる。
溢れ出した液体の泡が、コップから溢れ落ちていく。拭かないのかな、なんて疑問に思ったが、いや、多分気付いてない。
「飲んでみる?」
ん、とカイは私に溢れ返ったメロンソーダを手渡してくる。
コップの表面に付いた水か、それとも溢れ落ちたメロンソーダかはわからないが、浮かしたコップの裏面から、液体がボトボトと下へ垂れ落ちていく。
「…え、それを私に?飲めと?」
「そうだけど」
「…どうも」
小さく頭を下げて手に持った瞬間、
ベタベタとした感覚が、手に残り始める。
…最悪だ、めちゃくちゃ気持ち悪い。やっぱり中の液体が溢れてベタベタしてたんだ。
それから、どうしていいかわからなくなり、コップを持ったままメロンソーダを眺める。
どうしても、口が、心が頭が、飲みたいとは思ってくれない。
そりゃあ、色々な理由があるけども。
今までも、無理して笑ったこともある。それも全部、他人のための礼儀として、何だってやっていた。
……が、今は、そんな必要もない。
私が、これを飲む利益はなに?
この男に礼儀を使う必要なんかないだろう?