どうせ、こうなる運命
「はい、これ」
ふらっと帰ってきたカイは、水の入ったペットボトルを、私に差し出す。カイにとって大切なお金で、私なんかのために買ったんだろうか。
「……いらない」
受け取らなかった。
するとカイは、は?と舌打ちをする。
「そこはありがとう、だろ」
ん、とまた差し出してくるカイのペットボトルを、仕方なく、仕方なく受け取る。
今思えば、お茶を好んで飲んでいたから、あんまり、水なんて飲む機会がなかった気がする。
「飲め」
飲めって…
カイは、ギロッとした目付きで私を捉える。
「見とくぞ」
ペットボトルのキャップを開けようとする。
…が、その肝心なキャップが、中々、固くて。
「……ごめん、なさい」
「いいよ。ほら、かして」
言う通りにカイに手渡すと、カイは、少し力を入れただけで、あんなに固かったキャップをも、余裕な様子で開けた。
それから私は、
もうどうにでもよくなって、どこかやけくそで、勢いに任せてペットボトルを傾ける。
グビグビ飲むように、口に水を流し込む。
「ぅけほ、げほ、っげほ……」
まあそうなるけど、うまく飲めなかった。
水を思い切り溢してしまう。肺にでも入ったのか、むせて、咳が止まらなくなる。
それでも私は、水を飲み続けた。