どうせ、こうなる運命
「あー間に合わなかった、ごめんねー」
ただ椅子から立ち上がっただけのカイが間に合うはずもなく、床に、うつ伏せで倒れる。
「汚っ…最悪……ダルいわまじ…」
「ん?なんて??」
はっと口を閉じて、いえ何でも、と否定する。まじとか、ダルいとか言ってしまった。
汚いし、このまま起き上がりたくて仕方がない。
起き上がってみようと手をつくけど、さっき気絶していたのに無理矢理足を動かしたからか、足が麻痺して全く機能してくれない。
カイに助けを求めるのが、最善、だが……、
「助けて!!!!!」
「っび………は?」
大声を張り上げるカイの声が、突如、部屋に響き渡る。
…びっくり、した。
「もっともっと、叫べよ」
カイは、ゆっくりと私に歩み寄る。
「怖いなら、怖い!!!助けてほしいなら助けて!!!って思いっ切り叫ぶの」
なんでそこまで、先生みたいな口調で言ってくるのかよくわからなかった。
「強がりのお嬢様は、かっこよかった。怖くても何も言わずに耐えて、俺に助けを求めようともしないんだから」
でもね、そう言って、カイは、私の前で立ち止まる。
見下されているのに、そんな見下され感は、全く感じさせない。
「助けを求めることは、勇気がいることだから。それができる人は、もっともっと、なん十倍もカッコよくて、素敵なんだよ、お嬢様??」
なんだか都合のいい時だけお嬢様呼びしてくるカイに舌打ちしたくなる。
「ほら、やってみてよ。助けてーって」
カイは、私の前でしゃがみ込む。