どうせ、こうなる運命
は?やってみてよ?
ふざけんな。
動けないのわかってるなら早く助けろよ。
だけど、きっと、このままやらなかったら、カイは私を助けない。仕方がなく、恥ずかしながら、声を絞り出す。
「………た、……っ助けて」
「声ちっちゃ」
慣れない言葉を発すると、やっぱり、声が震えて小さくなる。恥ずかしくて、目を合わせられない私にカイは、面白そうに笑う。
「はい、ちょっと仰向けになってくれる?」
「…え?」
「大丈夫、変なことしないから、ね?」
カイが何をしようとしているのか全く読み取れず分からない。
だけど、信じてみる、ことにした。
なんとか回って、体を仰向けに倒す。
「目瞑って?」
「…はい、」
瞑った、その瞬間だった。
するとその時、足が、地面に着かなくなる。
「っひゃ……何して……」
「お姫様抱っこ」
あ、違うか、とカイは私に笑いかける。
「お嬢様抱っこ」
慣れた手付きだ。
これ、絶対常習犯。
「は!?ふ、ぶざけんな!!降ろせ!!!」
「うわ、お嬢だろ??なに言っちゃってんのぉ~??」
「っもう、いいの…!!いいんだよ!!私は、もうお嬢様じゃないんだから!!!」
鼻の奥がツンと痛む。
もう、また涙が出そうになる……
「目、うるうるしてる」
「っ…うるさい!!!早く降ろせって!!!」
「なつ、泣いていいよ」
急に来る優しい声が、止めきれないほど、涙を加速させていく。
「ほら、俺の胸に顔沈めて泣けば?」
「…は!?胸とかどうせ汗っ臭いくせに…」
「え?俺の胸、ラベンダーの匂いするよ?」
「…それは、きもちわるい」
笑うカイにつられて、私にも、笑いが溢れ出てきてしまった。