どうせ、こうなる運命
ふたりで、何をやっているのやら。
自分でも、意味が分からない。
理由もない、この短い時間。
でも、そんな時間がずっと続けばいいのに。そうすれば、何も、考えないでいられる。
…ダメだ、私、笑ってちゃいけないのに。
そう思うけど、ずるいくらいに、カイが笑わしてくるから。
…笑わないと思っていた。
なのに、笑ってしまった。
だからものすごく、切れた口元が、痛い。
「笑い方、下手くそ」
「これは、作り笑いじゃないから変なんです、……これは、ほんとの笑いだから」
「俺は、そっちの方が好きだけど」
好き、というワードに過剰に反応してしまった自分が、心底恥ずかしくなる。
「あれ、もう抵抗しないんだね」
「…暴れ回っても、水の泡になることがよくわかったんで。…でも、重く、ないの」
「んー、俺は怪力だからな。めっちゃ重いけど」
軽くカイの頭を叩いてみる。痛い、なんて言いながら、カイはどこか嬉しそうに笑う。
「じゃ、行こっか」
ベッドに戻してくれると思っていたのに、それは違った。カイは、医務室の扉へと向かう。
「ちょ、どこに…」
「ナツの部屋だけど」
「いやいや、それは自分で帰れるんで」
「足、麻痺してんだろ?無理じゃん」
私の部屋、ということは、廊下や女子寮を通るということ。そんなの絶対、刑務官に止められるし白い目で見られたりするでしょ…