どうせ、こうなる運命
「いいから、離して」
「無理、離さない」
カイが離してくれるわけでもなく、そのまま、扉を開けて医務室前の廊下に出る。
案の定、部屋の前には、見張りの刑務官が立っていた。
「手当ては済んだか?」
「はい。なんか足が動かないみたいで。こいつ、部屋まで運んで行っていいですか?」
勝手に、こいつって呼ばれた。
そこへの苛立ちは置いておいて、とにかく、こんな自分への恥じらいが勝つ。
…こんなの、恥ずかしすぎる。
いや、お姫様抱っこされてるんだ、私は。
カイは、さっきから私にチラチラと視線を落としている。それはどこか、私を刑務官に見せつけているようだった。
それから刑務官は、私の顔に初めて目移りする。
「許可する」
どうも、とカイは丁寧に頭を下げる。
それからまた、安定した足取りで進み出す。
落ちないように、カイの体に必死に寄るしかない。しっかり支えてくれていて、本当に、カイの腕の中は安定している。
「私のこと、使いましたよね」
「そだね、使った。じゃなきゃ、女子寮に入るとか普通に許してくれないし」
「確かに」
私だからっていうのも、利点なのか。
そう、悪くはないかもしれない。