どうせ、こうなる運命

「なら、私、」



ちゃんと、カイの目を見つめて言った。



「カイのこと、守ります」



それからカイは、しばらくポカンとした顔で歩み続ける。静寂が走っても、負けずに、私はカイの目を見つめていた。


私にしては、至って真剣に言ったつもりだった。



「…お嬢様、とうとうバカになったの？大丈夫…？頭壊れた…？あ、俺のせいで…？」



カイは、真顔で、本気で心配してくる。

それからカイは、面白そうに大きく笑う。



「いやいや、普通にすくんで足も動けないおじょーさまが何言ってのかなぁ？ほら、俺に抱っこされて」



カイは私を宙に上げる。



「ひっ…」



カずれてきた私の体を、安定するために整えたかったのか、カイは私の体をまたキャッチする。

怖がってやーんの、と笑うカイに、汚いけど唾でも飛ばしてやりたくなる。



「わ、わかってる。今はこんなんだけど、でも、ちゃんとその時が来たら、私だって、」

「はいはい、…ありがと、なつちゃん」

「無理、普通にキモいんですけど」



ひど、と笑うカイにつられて、笑ってはいけないのに笑ってしまう。



「あの」



恥ずかしいけど、目を合わして言ってやった。



「ありがとう、かい」



名前を呼んで、下手くそだけど、自分なりの笑顔を見せた。


嘘だっていい。

嘲笑われてたっていい。

弄ばれたっていい。


もしそうだとしても、カイには、ずっとずっと、騙され続けてやりたいと思えた。


カイは、じっと私を見つめる。

なんだか恥ずかしくて、完全に、負けた。

結局は目をそらしてしまう。



「…ん」



カイは笑顔で、私に笑いかけた。



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