どうせ、こうなる運命
「嫌だ、やだやだやだ…!!!!!降ろしてお願い…!!!無理無理無理無理……」
「ちょ、静かに暴れんなって」
食堂前の大通り、周りは、人、人、人、…
「人が…めっちゃ見てる…無理…っ……」
「じゃあ降ろす?歩けないんだろ??」
「怒らないでください…!ごめんなさい…」
大勢の囚人らの目が、私達を襲う。
コソコソ何を言われているのか、考えたくないもないことだけど、聞こえてしまう。
「なにあれ」「え、あれってあのふたりじゃね?」なんて、声も聞こえる。
そりゃあ、見られるのも無理はない。
私とカイは、ある意味、人に知られている。
そんなふたりが、こんなことして……
これは、想像以上の恥ずかしさだ。そして、後から来るであろう波が怖くてたまらない。
「あーあ、そんなに照れちゃって」
「は!?!?恥ずかしくない方が異常でしょ…!!やっぱり…降ろしてくれ…下さい…」
「堂々とじっとしてればいい。怖くなーい、怖くなーい、ね?怖くないから、大丈夫よ」
「…説得してますか?なら、説得力ないですよ」
「わかったから、ちょっと落ち着け」
カイは端に寄って、さーっとスピードを上げて足を速める。そして、私の導きのもと女子寮エリアに突入する。
「…ここから女子寮」
「ふうん、道案内よろしく」
「ふうんって…普通に変態ですけどね」
そこで突然、カイの足が止まる。
「…え、俺って変態になる?」
「そりゃあ、女子寮なのに侵入して」
「…そうか。まあ、仕方ない仕方ない」
多少の躊躇はあったらしいが、カイはまた足を進める。ちらほらと通っていく女子らが、私達のことをげっとした目で見る。