どうせ、こうなる運命

…カイ？


私は、見逃さなかった。

一瞬、どこか潤んでいるように見せたカイの黒い瞳。そんな瞳は一瞬ですぐに戻り、光もない、すんとした、真っ黒な瞳になる。

さっきも見た、その、目。



…まるで、感情を殺してる、ロボットみたい。



私は、そんな人を沢山見てきた。

見てきた、というか、

感情を圧し殺してるロボットは、私のような人だから。



笑顔を必死に保ち、頭を下げる人。

平気なフリをして、いつも明るいムードメーカーを演じる人。

声のトーンや笑顔までもを合わす人。


目の奥には光もなく、操られたロボットのような人。人間なのに、ただ、命令されたプログラムを行っているかのように。



私にはその、隠しきれていない、寂しくてたまらない横顔が、痛いほどによくわかる。



カイも、するんだな、そんな顔。

きっと、誰だってするのね。

私だからわかった。

それくらいに一瞬で、

カイは、きっと、………隠すのが、上手い。



「離れないから」



カイは、綺麗な黒い瞳を、私に向ける。

出来るだけ優しい眼差しを、カイに向ける。