どうせ、こうなる運命
「私のいた学校では、大きい方だったんで。いつも背の順では後ろの方にいて、色んな人を見下してしまうほどでしてね、」
「へぇ、お嬢様学校とかの生徒って、ちっさい小人一族ばっかなのね??お嬢様方、お可哀想~」
お可哀想?は?ふざけんな?
そんなバカにするような口調は、カイが初めてだ。私の身分とか、何も知らないくせに。まあ、もう高い身分なんて失ったものだけど。
「165センチもあるのよ?どこか小さい?カイだってどうせ、160あるかないかのくせに」
「いや、俺は185あるから」
すん、と自然に戻った私は、カイから本を「ありがとうございました」と早口に奪い取って、適当に選んだ端っこの席に座り込む。
気付けば、その隣には、強引にもカイが座り込んでいた。なんだか、横との距離が近い。
「俺、ここにホクロあんだよね」
「…はい?」
思わず、ポカンと口を開く。
カイが指差した目の下を見ると、確かに、小さなホクロがある。
いや、気付かなかった、あまりにも、小さすぎて。
…なんなんだろう。
全く、意図が読み取れない。
意図なんか関係ないのだが、何故、この話題を?いや、自ら言うのだから何か私に言ってほしくて?本を読もうとしてる私に、今??
「なんか、エロくない?」
「…は?」
更に大きく縦に口が開く。そんな顔を見て、カイは、ははっと笑い出したので、どうでもよくなった。開いた本に、目を落とす。
…ああ、時間と脳の無駄だった。
あと、このクズ男を映す目の無駄。