デスゲームアイドル デスゲーム学園からの大脱出

いやだ、私はアビスに落ちたくない

「それでは第3ゲーム、両者キューブはオープンするか?」

真桑(まくわ)は頷くが、私はうつむいたまま体が動かなかった。

「おい、おまえ、どうするんだ?」

審判から追及されて、私は自分の選んだキューブに手を添えたまま震えながら答えた。

「く、クローズします」

もう、この第3ゲームは真桑が掛け金を決める側なので、私がクローズしてキューブの数字が見えなければ大きな金額はかけづらくなる……はず。

「じゃあ、僕だけオープンするよ」

真桑がオープンしたキューブの数字は6。

あ、危なかった。

真桑が賭け側なので、私は同じ数字の6でしか勝てないことになる。

私の数字が小さい数字でオープンされていれば真桑は大きな金額をかけていたかもしれない。

負ければ払う額は倍になるが、このゲームはキューブをクローズしていてよかった。

「それでは賭け側は掛け金を提示しろ」

少ない金額を掛けてほしい。

出来るだけ少ない金額を。

審判に促されて真桑は私の顔をじろじろと眺めている。

「ダメだなあ、有月(ありづき)さん。そんな顔をしちゃ」

「えっ?」

「顔に出てるよ。僕のキューブが大きい数字だって」

し、しまった。こんな大事な場面で初歩の初歩を忘れてしまった。

周りのみんなの表情よりも対戦相手の表情が一番のヒントになるのだ。

「じゃあ、僕はこの第3ゲームに200万を賭けるよ」

「え、ええっ!」

思わず余計な反応をしてしまった。

ここは無表情で通さないといけないのに。

「な、なんで200万なんて」

いくら私が数字の大きそうな反応をしたからといって賭ける額が大きすぎる。
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