デスゲームアイドル デスゲーム学園からの大脱出
「おい、はやくオープンしろ」

いつの間にか私は泣き出してしまった。

「い、いやだあ、開けたくない。開けたくないよう」

キューブをオープンすれば、私がアビス行きかどうか確定してしまう。

「有月さん、見苦しいよ。さあ、黒服の皆さん、彼女を拘束して」

真桑が文句を言って黒服のふたりにお願いすると、言われるまでもなく黒服のふたりは私の両腕をつかんで立ち上がらせる。

それを確認して審判が私のキューブをオープンしようとする。

「ま、まってよ。キューブは。キューブは私が開ける!」

私の最後のお願いを受けて審判は動きを止める。

「まあ、いいさ。有月さん、最後の運命ぐらい自分で確認したらいいよ」

私は泣きじゃくりながらもゆっくりと目をつぶってキューブを手にかける。

目をつぶったまま、私は勢いよくキューブをひっくり返した。

ゲーム台の上には何の反応も返ってこない。

おそるおそる薄目を開くと、審判が私の方を向って口を開く。

「受け側の数字は6。よって第3ゲームはプレイヤー有月の勝ちだ」

えっ、私の勝ち?

勝利の宣言をされてようやく私は自分のキューブをはっきりと確認する。

間違いなく私のキューブの数字は6だった。

「や、やった。やった、私の勝ち、なの」

「有月勝利のため、このゲームの賭け金200万はプレイヤー有月に移る」

アビス行きを免れたことだけで喜んでいたが、審判の説明でようやく200万のお金を取り戻したことにも気が付いた。
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