デスゲームアイドル デスゲーム学園からの大脱出
痛む頬に何をされたのか混乱してしまったが、シュウくんに思いっきり頬をはたかれたと気が付いた。

「おい、(あおい)、目を覚ませ。お前の目の前にいるのは俺たちが倒さないといけないデスゲーマーだぞ!」

シュウくんの指摘に私はようやく目が覚めたようにハッとする。

そうだ、私には夢がある。

みんなに希望を与えることできるアイドルになるって。

「……うん、だいじょうぶ」

私は閉じていた目を見開いた。

「シュウくん、いい張り手だった。燃えたよ」

「それでこそ、(あおい)だよ」

「あらあら、色々と大変ねえ。あなたたちの人生最後の日なんだからもっと仲良く楽しみましょうよ」

冗談ぽく笑いながら、ルルリちゃんはテーブルに座った。

「そうだな。ゲームの時間を引き延ばした分だけお前の寿命が延びるもんな。感謝してほしいな」

お互いに一歩も引かずにけん制し合う姿に私は震えてしまう。

「ふふふ、さすがね。今日のデスゲームはがぜんやる気が出て来たわ」

微笑むルルリちゃんのテーブルに紅茶らしきカップが用意される。

「あなたたちも何か飲んだら? 楽しくやりましょうよ」

「俺はいい」

シュウくんは落ち着いて誘いを断る。

やっぱりシュウくんは私なんかよりデスゲームに場慣れしているように見える。

でもなんで?

(あおい)はなんか飲むか?」

「えっ、はい。じゃあグリーンティーを」

正直飲み物なんてどうでもよかったけど、シュウくんに聞かれたから流れで頼んでしまった。

「それより、今日のデスゲームはコンビ戦だろ。もうひとりはどこにいるんだよ」

シュウくんが司会に尋ねて私もはっとした。

確かにコンビ戦なのだから相手のデスゲーマーがもうひとりいないといけない。

「あらあら、何を言っているのかしら。私のコンビならあなたたちの目の前にいるじゃない」

シュウくんの質問に微笑みながら答えたのはルルリちゃんだった。

「さあ、デスゲームの始まりよ、ホルツェさま」

ルルリちゃんがそう呼び声をあげると膝の上に乗っていたクロネコがぴょんとテーブルの上に舞い降りた。

「紹介するわね。この子が私のコンビのホルツェさまよ」

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