デスゲームアイドル デスゲーム学園からの大脱出

助けを呼ぼう。武志君が気づいてくれたら……。

「それでは第４ゲームの扉はロックします」

それは無情な宣告だった。

床にはいつくばっている私の目の前で部屋の扉は閉まった。

代わりに反対側の入り口から大勢の人間が入ってくる足跡が響いてくる。

うずくまる私の周りを取り込んだのは４人の黒服たちだった。

重い頭をひねって確認すると、黒服たちは黒いマスクとゴーグルもつけている。

「まったくめんどくせえな。余計な手間を取らせるなよ」

けだるそうに黒服の１人が右手に黒い筒のようなものをもって私に迫ってきた。

私は直感的にその筒が私を早く殺すための毒だと気が付いた。

逃げたいけど下半身は全く力が入らない。

わずかに残った腕の力だけで逃げようとするが、少しだけ体が前に伸びただけだった。

そのまま黒い筒が私の右腕に押し付けられると毒薬が注入される感覚が走る。

次の瞬間、世界がひっくり返ったようにぐりんと視界がゆがんだ。

もう何もわからない。何も見えない。気持ち悪さとめまいで発狂しそうだった。

少しでも意識を弱めるとすぐにぷつんと世界が真っ黒になってしまいそうだった。

私は最後の思考で床があったと思われる方向に自分の頭を打ち付けた。

火花と稲妻が目の前で炸裂したような感覚がしたが、少しだけ意識が戻るような気がした。

「いや、いや、いやよ、死にたくない。死にたくない。死んでたまるか！」

私は自分の命の炎が消えないように何度も何度も頭を床に打ち付けた。

「な、なんなんだよこいつ。おかしい。頭いかれてるよ」

黒服のおびえたような絶叫が部屋に響く。

「おい、おまえら、早くこいつにありったけの薬を打て」

４人の黒服たちに体を押さえつけると、私は左腕、右の太もも、左の太ももに薬を注入された。

「いやー！！」

私が絶望の声をあげると全身に打たれた毒薬による破滅の衝撃が電流のように走り、私の意識は粉々に壊れてしまった。

最後に味わったのは床にぶつかるはずの私の顔面がそのまま黒い闇の中をどこまでも奈落に落ちていく感覚だった。