デスゲームアイドル デスゲーム学園からの大脱出
「……あの、ルルリちゃん、いえ、赤音さんがどうしてここにいるんですか?」

「ふふ、研究生とはいえ、うちのグループの子が大事故に遭ったんだからお見舞いに来るのはリーダーとして当たり前でしょ」

憧れの神様の微笑みに私は感激してしまう。

「あ、ありがとうございます」

「それより(あおい)ちゃん、不謹慎かもしれないけど、この機会をモノにしてみない?」

「どういうことですか?」

「あの大事故の奇跡の生還者として世のメディアがあなたに注目しているわ」

それはそうかもしれない。

発見されるまで何日も漂流していたということはニュースなどの報道では私の生存は絶望視されていたはずだ。

「私ね、このタイミングであなたを研究生から正規メンバーに格上げしようかと思うの」

「えっ、私を?」

「どうする? もちろん他のメンバーからの嫉妬もあるでしょうし、歌と踊りのレッスンは大変よ」

ルルリちゃんの意図はよく分かる。

大事故からの生還という自分の才能とは全く関係のない理由であっても世間から注目されている時が芸能人の勝負をかける時だと思う。

芸能人の一番大事な要素のひとつは運なんだ。

「まあ、今、目を覚ましたばかりでこんなことを決めるのも無理でしょうから、落ち着いてからまたゆっくりと返事を……」

「やります。私、やりたいです」

気が付くと私は大きな声で答えていた。

例え運だとしても与えられたこのチャンスに対しては精いっぱいやってみたい。そう感じたからだった。

「ふふ、素敵。命を賭けるべきところが分かってる子、私大好きよ」

赤い神様は私の手に自分の白い手を添えて満足げに微笑んだ。

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