片桐くんは空気が読めない
でた片桐節。

片桐くんは本音と失礼を固めたような男で、建前と礼節をまるで知らない。

だから、人とのコミュニケーションにおいて多大なる難を抱えている。

その上、自分は素直で誠実だと思っているものだから手のつけようがない。

私はまた大きなため息をつきそうだった。

「屁理屈言わないで。私、あんたが何か言うたびにいつもヒヤヒヤしてるんだから」

「はっ、余計なお世話だ。いつ俺が心配してくれなんて頼んだ? お前は自分の友達ごっこにでも集中してろよ」

「駿!!」

私が勢いよく立ち上がると、彼は「おー、こわ」と言って、挑戦的な視線をこちらによこすと、そのまま店を後にした。

カランとベルが乱暴になる。

私は周りの視線を受けて仕方がなく席に座り直した。

あー、イライラする。

私はストローでじゅっと一気にアイスティーを吸った。

高校生になったら、もっとこう日常はキラキラしているものだと思っていた。

それなのに、私の周りはうまく立ち行かないことばっかりで。


でもそれは何も他人のせいだけじゃない。

本当は私だって分かっている。  


「友達ごっこ、か」

明日も学校だと思うと気が重かった。
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