片桐くんは空気が読めない
「ねぇ、片桐くん」
「あ?」
コラボフードの到着に写真を撮ることに夢中な片桐はこちらを見ずに聞き返した。
「髪切らないの?」
私も美奈と沙羅に見せる用の写真をこっそり撮っていたのだが、レンズ越しに彼をまじまじと見てあらためてその長い前髪が気になった。
本人を写したら片桐くんだとバレるので、使う写真は料理の後ろにちらりと映り込む彼の手元だけなのだけれど、それにしても彼の前髪は長くてうざったそうだった。
「あー、そのうちな」
そのうちって。
絶対来ないやつじゃん。
髪もそうだが、彼は自分自身に頓着しない。
クラスの男子が女子モテを意識する一方で、彼は自分の興味のある世界を追求することに夢中のようだ。
それは、高校の範囲を超えた数学であったり、ラノベであったりその時々で諸々だ。
それなりの服を着て、ちゃんとしたところで髪を切って、メガネを外したら、私のときよりも化けそうなのに勿体無い。
私は、いい感じに彼の男物の腕時計が映る画角でシャッターを切った。
「あ?」
コラボフードの到着に写真を撮ることに夢中な片桐はこちらを見ずに聞き返した。
「髪切らないの?」
私も美奈と沙羅に見せる用の写真をこっそり撮っていたのだが、レンズ越しに彼をまじまじと見てあらためてその長い前髪が気になった。
本人を写したら片桐くんだとバレるので、使う写真は料理の後ろにちらりと映り込む彼の手元だけなのだけれど、それにしても彼の前髪は長くてうざったそうだった。
「あー、そのうちな」
そのうちって。
絶対来ないやつじゃん。
髪もそうだが、彼は自分自身に頓着しない。
クラスの男子が女子モテを意識する一方で、彼は自分の興味のある世界を追求することに夢中のようだ。
それは、高校の範囲を超えた数学であったり、ラノベであったりその時々で諸々だ。
それなりの服を着て、ちゃんとしたところで髪を切って、メガネを外したら、私のときよりも化けそうなのに勿体無い。
私は、いい感じに彼の男物の腕時計が映る画角でシャッターを切った。