七夕はあなたに会いたい
 今年の七夕は日曜日だ。
 朝の通勤電車に揺られながらスマホを見て、私はため息をついた。
 七夕に会いたいな、そっちに行くよ、と昨夜メッセージを送った。

 だが、遠距離の彼氏からは、仕事が忙しくて会えない、と返事が来た。
 私は寂しくてたまらなかった。

 大学二年生のころから付き合って七年目だった。
 もう二十七歳なんだし、ゴールインしたい。

 だけど彼は仕事が楽しい時期みたいで。
 私もそれは同じだ。

 けど、遠距離で結婚なら、どちらかが仕事をやめなくちゃいけないだろう。
 別居婚なんて言葉もあるけど、私はやっぱり一緒に暮らしたい。
 愛と仕事、どちらをとるかと言われたら最終的には彼を選んでしまう。

 でも。

 最近ずっと、忙しさを理由に会うのを断られている。
 もう終わりかもしれない。
 私は悲しく窓越しの空を見る。
 どんよりと曇った空は、今にも泣きだしそうだった。



 七夕まで一週間ちょっと、というときだった。
 私はその日、仕事を定時で終えて駅にむかっていた。
 駅の改札で、彼に似た人を見つけて驚いた。
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