七夕はあなたに会いたい
 似てる、じゃない。本当に彼だ!
 どうして?
 驚いている間に、彼は女性と仲良さそうに改札をくぐって消えた。

 どうして。
 私は呆然とそれを見送る。

 見間違えるはずなんてない。

 こっちに帰って来るなんて聞いてない。
 彼がいるのは直線距離で三百キロくらい。新幹線で日帰りできないこともないけど。

 私はスマホを取り出すと、メッセージを打つ。
『こっちに帰って来てたの? 仕事?』
 返事はなかなか来なかった。

 夜になってから、行ってないよ、と返ってきた。

 嘘をつかれた。
 私は呆然とした。

 女性と一緒にいた、というのも私にはショックだった。
 いや、女性と一緒にいたから嘘をついたのか。

 地元に帰ってきて女性と一緒にいたということは、まさか、ご両親に挨拶とか?
 私とは別れてないのに?

 次々と疑問が浮かぶ。
 それを彼にぶつける勇気もなくて、私はただため息をついた。



 七夕当日、私は自室でうんざりと座り込んでいた。
 お昼を食べてからもなにもする気力がなくて、また部屋で座り込む。
 はあ、と何度目かわからないため息をついたときだった。
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