七夕はあなたに会いたい
「教えてくれたらよかったのに……」
「驚かせたかったんだ。心配させたみたいで、ごめん」
 私がぼやくと、彼は申し訳なさそうに言った。

「それで……ね」
 彼が私の手を握る。

 まっすぐに見つめられて、私はどきっとした。
 こんな真剣な顔を見るのは久しぶりだ。
 告白のときと同じくらいの真剣さで……。

「俺と、結婚してほしい」
 私は言葉を失くして彼を見た。

 今までそんな話は出ていなかったから、まさか今日プロポーズされるなんて思っても見なかった。
 私の目にじわりと涙が浮かぶ。

「……もしかして、ダメだった?」
 私は慌てて首をふる。

「うれしくて。ありがとう」
 止めようと思うのに、声が震えて涙があふれてくる。

 特別な言葉なんてなにもない、シンプルなプロポーズだ。
 だけど、彼から言ってくれたからこそ、特別だ。

 私は彼を見る。
 沈む太陽に照らされた彼は、夕日以上に赤くなって私を見つめていた。




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