追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜

一章

「フランソワーズ・ベルナール、貴様との婚約は破棄させてもらう……!」
 

煌びやかな会場と豪華なシャンデリア。
人がひしめき合うパーティーの場で、シュバリタイア王国の王太子……セドリック・ノル・シュバリタイアの声が響く。
今日は彼の誕生日パーティーだ。
ブラウンの髪は艶やかで紫色の瞳はシュバリタリア王国特有のもの。
端正な顔立ちは令嬢たちからは人気があると聞いたことがある。

彼の隣には可愛らしい令嬢が立っていた。
それは婚約者であるセドリックに婚約破棄を受けているフランソワーズの義理の妹、マドレーヌだった。
マドレーヌがマゼンタとホワイトのとろみのある布地にリボンが施された可愛らしいドレスを纏っていた。
ライトグレーの髪はハーフアップで編み込まれている。
切り揃えられた前髪と、パッチリとした目は可愛らしい印象を受ける。
透けるようなピンク色の瞳を潤ませながら、セドリックを見つめていた。

(婚約者の義妹と二人きりで堂々と壇上に立つなんて……信じられないわ)

承認欲求が強い彼にとって、褒め上手で相手の懐に入るのがうまいマドレーヌの存在はたまらないのだろう。
彼女は一瞬でセドリックを虜にしてみせた。
細く白い腕はセドリックに遠慮なく絡みつき、その関係を浮き彫りにさせている。
豊満な胸を押し付けているように抱きついているマドレーヌ。
その行動は貴族社会においては、はしたない行動ではあるがそれに気づく様子はない。
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