追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
目に焼きついたように離れない金色の髪と赤い瞳。
魅入られたように動けなかったステファンだったがフランソワーズに続いてすぐに歩き出す。
もちろん会場を出て、彼女を追いかけるためだ。
フランソワーズがセドリックと婚約破棄したことや、国外追放にされたことは、ステファンにとっては幸運ともいえる巡り合わせだった。
フランソワーズにどうにかして力を借りたい、そう思った。

(彼女の力を借りれば、オリーヴを救えるかもしれない……!)

平静を装いつつフランソワーズに声をかける。
彼女の格好から、ここから出て行こうとしているのだとすぐに理解した。
これはステファンにとっては願ってもないチャンスだった。
フランソワーズは妹の話をすると、渋々ではあるがついてきてくれた。
もしかしたらオリーヴを救えるかもしれない。
そう思うと気分が高揚したのだが、共に馬車に乗った時から違和感を覚えた。

フランソワーズを前にした瞬間から、心臓が激しく動き出したような気がした。
冷や汗が滲む。まるで何かに怯えているようだと思った。
今にも乗っ取られてしまいそうな感覚。
フランソワーズの前で失態を晒すわけにはいかないと、必死に抑えていたが、我慢がきかなくなっていく。
ついに教会を探すも限界が訪れてしまうが、フランソワーズの力でステファンは救われたのだ。
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