追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
それから馬車の中で話して、一緒に過ごしているうちに抑えていた気持ちが溢れ出していく。
彼女を笑顔にしたい。もっと名前を呼んでほしいと思ってしまう。

(もっと彼女のことが知りたい……)

フランソワーズの笑顔を守りたいと思った。

城に着くと父と母が待っていた。
早馬で連絡したため、フランソワーズがくるのを心待ちにしていたのだろう。
オリーヴの様子を見たフランソワーズは案内もしていないのに本が置いてある場所に向かった。
すると自分が自分ではなくなる感覚が抑えられなくなり、フランソワーズに剣を向けてしまう。

(……やめろ、フランソワーズを傷つけたくない!)

しかしフランソワーズは怖がることもなく、ステファンを真っ直ぐに見つめたまま。


「ステファン殿下、もう大丈夫ですわ」


そのフランソワーズの言葉に、暴れ出しそうな気持ちが落ち着いていく。
そのまま気絶するように眠りについたが、次に目が覚めた時には体が軽くなっていた。
それから傷だらけのノアとイザークに体を見るように言われて確認すると、全身を覆っていたはずの黒いアザが綺麗に消えていたのだ。

(フランソワーズのおかげ……なのか?)
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