追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
セドリックの気分が沈んでいく。
しかしマドレーヌから帰ってきたのは予想外の言葉だった。


「それなら安心してください」

「どういうことだ?」

「実は、わたしは宝玉を破壊できるほどの力を持っているんです!」


セドリックはマドレーヌの言葉に耳を疑った。
信じられない気分だった。
歴代最高の聖女と呼ばれるフランソワーズよりも強い力。
この国を苦しめる元凶、悪魔の宝玉を破壊してしまうほどの力がマドレーヌにはあるという。
セドリックは半信半疑だったが、マドレーヌが嘘をついている様子はない。


「そ、それは本当なのか?」

「はい……そうなんです。もう色々な悪魔を聖女の力で灰にしているんです!」


たしかにマドレーヌの評判は聞いていた。
平民から貴族まで助けている心優しい聖女、それがマドレーヌなのだ。


「何故そんな大切なことを言ってくれなかったんだ!」

「それを言ったら……わたしはフランソワーズお姉様にっ」


涙ぐみ口元に手を当てるマドレーヌにセドリックは驚いていた。

(まさか自分の地位に固執して、こんな素晴らしい力を持つマドレーヌを虐げていたとは……!フランソワーズ、失望したぞっ)
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