追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
だが、そこでマドレーヌの性格が大きく違っていると気づいたのだ。

(わたくしと同じで前世の記憶を持っているのね。それにこの小説の内容も完全に理解しているみたいだわ)

そう気づいてしまえば、マドレーヌの行動も意図的で計算だと感じてしまう。
もうフランソワーズにできることは限られていた。

フランソワーズがマドレーヌを虐げないように注意を払って……と考えている間になんと勝手に『フランソワーズに虐げられている』と、自作自演を始めたのだ。
それも小説通りに。
あまりのことにフランソワーズが呆然としている間に、まるで物語を早送りしたような状態で進んでいく。

(これは……あんまりいい状況ではないわね)

フランソワーズは直感的に自分が前世の記憶を持っていることをバレないようにしなければと思った。
バレたらもっと面倒なことになるからだ。

当初、フランソワーズが死刑になるまで二年はあると思っていたが、あっという間に終盤になってしまった。
マドレーヌは順当に周囲の人物を掌握していく。
まるでそうなることが当然だというように……。

未来を読むかのように効率よく重要人物を味方につけていった。
結果的には二年ほどかかる物語を半年ほどでクライマックスに持ち込むほどだ。
相当、小説を読み込んでいたのだろう。
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