追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
たしかにフランソワーズは、ほとんどが悪魔の宝玉がある塔にいる。
セドリックと公務を共にしてパーティーに出席していた。
フランソワーズは疲れた顔一つ見せずにいたからか忘れていたのだ。
彼女がベルナール公爵邸に帰ったのはいつだったのか。
フランソワーズがマドレーヌを虐げる時間などあっただろうか。

(そんなことにフランソワーズが興味を持つだろうか。まだマドレーヌと出会って半年……彼女たちはほとんど顔を合わせたことはないはずだ)

そう考えてゾッとしてしまう。

(いや……ありえない。マドレーヌが嘘をつくはずがないさ。それにベルナール公爵だって何も言わないのだから同意したということだろう?)

セドリックはベルナール公爵の態度を思い出していた。
迷っているようにも見えたが、フランソワーズの味方をすることはない。
一連のやりとりを見ていた人たちも騒ついていて、完全にセドリックたちの味方というわけではないようだ。
貴族たちは皆、悪魔の宝玉のことを知っている。
生まれた令嬢は聖女としての力を多かれ少なかれ持っているからだ。
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