追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
(あなたがそうくるなら、わたくしも早く動かないとね)

フランソワーズだって、ただ断罪されるまで待ちぼうけしていたわけではない。
父やセドリックもマドレーヌに肩入れしている時点で何、を言ってもフランソワーズを信じることはないだろう。
セドリックはマドレーヌに夢中で、わかりやすいくらいにフランソワーズを邪険にしはじめた。
シュバリタイア国王と王妃も見てみぬフリをしている。
フランソワーズなら何も言わない、反抗することはないと思っているのだろう。
そんなところも腹が立つ。
自分を犠牲にして、こんな国を守ろうだなんて思えなかった。
彼女を虐げたなど濡れ衣にもほどがあるし、マドレーヌに好き放題されっぱなしでは気が済まない。

(それにしても、よくこんなに堂々と嘘をつけるものはね……)

たまにマドレーヌから聞こえてくるのは、何も知らないと思われているフランソワーズを馬鹿にする声。
影で煽ってくることも腹立たしいが、フランソワーズを演じていた。
淡々と「何か用かしら?」と言葉を返すと、マドレーヌは余裕の笑みで「別にぃ?」と言った。

幸い、フランソワーズはマドレーヌに前世の記憶があることはバレていない。
マドレーヌは自分の立場を確立することに忙しくて、フランソワーズの行動など、どうでもいいと思っていたからだろう。
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