追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
フランソワーズは申し訳なさから、顔を伏せた。
こうして曖昧な態度でいることは、互いによくないこともわかっていた。
するとステファンはフランソワーズの頬を撫でる。

ステファンはフランソワーズの気持ちを一番に考えてくれているようだ。
彼はいつもフランソワーズの気持ちに寄り添って理解しようとしてくれる。
それが何よりも嬉しいのかもしれない。

ステファンは出会った時よりも、感情を露わにするようになった。
フランソワーズの前だけでしか見せない特別な表情を見るたびに心がときめくのだ。

今、フランソワーズはシュバリタイア王国にいた時のような孤独や疎外感を感じていない。
フェーブル王国ではフランソワーズのがんばりを正当に評価してくれている。
シュバリタイア王国にいた時、フランソワーズはまるで道具のようだった。
完璧にやって当たり前……そのことが彼女を追い詰めていったのだ。

フェーブル王国の人々の『ありがとう』という言葉を聞くたびに胸が熱くなる。
フランソワーズも自分の意思で自由に動けて、役に立ちたいと心から思えた。
今ではこの力で役に立てることを誇りに思う。
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