追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
その言葉を聞いたステファンは、フランソワーズを抱きしめる。
背に回る腕の力が強まっていく。


「もちろんだよ。フランソワーズ」

「……ステファン殿下」

「君の気持ちの整理がつくまで待つから……本当にありがとう」

「もう少しだけ……時間をください」


その気持ちに答えるように、フランソワーズはステファンの背に手を回した。
爽やかなシトラスの香りが鼻を掠めた。
ステファンの愛情が、優しい手のひらから伝わってくる。
それでもステファンの隣に立つのはそう遠くない未来になるだろう。
何よりフランソワーズ自身がそうあったらいいなと思っているからかもしれない。

それからフランソワーズはステファンとの時間を大切に過ごしていた。
二人で買い物に行く約束をして、その日は別れた。
ステファンにはまだまだ王太子としての仕事が残っているそうだ。

(ステファン殿下はフェーブル王国をよくしようと努力しているのね)

どうすればもっとフェーブル王国がよくなるのか。
国民たちがどうすれば暮らしやすくなるのか、彼は常に考えているようだ。
城の中で働く人や貴族たちにももちろんだが、街に出ると大騒ぎになるほど国民たちからも大人気だった。
皆に慕われているステファンを見ていると、フランソワーズももっとがんばらなければと気持ちにさせられる。
ステファンと常に行動しているイザークとノアとも話す機会が多いのだが、志高いステファンに、一生ついていきたいと言っていた。
< 131 / 204 >

この作品をシェア

pagetop