追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
「イ、イザーク様とノア様に頼んで連れてきてもらったのです……!」

「……!」


フランソワーズの言葉にステファンの視線がノアとイザークへ。
大きく肩を揺らしている二人を見て、フランソワーズは「わたくしがお二人に頼んだのです!」とイザークとノアを庇うように声を上げる。

ステファンはいつものように笑みは浮かべてはいるが、その表情は曇っているように見える。
それだけフランソワーズに剣を向けたことを気にしているのだと思った。


「……怖くは、なかったかい?」


どうやらフランソワーズの予想通りだったようだ。
ステファンの問いかけにフランソワーズは首を横に振る。


「とてもかっこよかったです。ステファン殿下は、やはりお強いのですね」

「フランソワーズ……」

「わたくし、ステファン殿下の剣捌きに見惚れてしまいました」


フランソワーズが笑顔でそう言うと、ステファンの頬がみるみるうちに赤くなっていく。
口元を手のひらで押さえて、フランソワーズから視線を逸らしてしまう。
照れているステファンが余程珍しいのか、様子を見ていた騎士たちはどよめいているようだ。
しかしそれもステファンが振り返ったことでピタリと声が止まる。
< 134 / 204 >

この作品をシェア

pagetop