追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
「こちら差し入れですわ。皆様で召し上がってくださいませ」


フランソワーズは大きなカゴをステファンに手渡した。
中にはサンドイッチが大量に入っている。
騎士たちも嬉しそうだ。


「ありがとう、フランソワーズ」


ステファンの爽やかな笑顔に、フランソワーズは彼を見つめながら頷くことしかできなかった。

その二日後。
ステファンがフランソワーズのために時間を作ってくれた。
午前中にあった会合が、相手の都合で日程がずれたからだそうだ。
そこでステファンに誘われ街に出かけることになる。

フランソワーズは侍女たちに街娘風の格好にしてもらいつつ、ステファンを部屋で待っていた。
扉を叩く音が聞こえて返事をすると、同じくお忍びの格好をしたステファンが現れた。
イザークとノアもステファンの背後から顔を出す。
今日は彼らが変装して、護衛としてついてきてくれるそうだ。
ステファンのエスコートで馬車に乗り込んだ。

シュバリタイア王国でフランソワーズは、ずっと城の宝玉の間にこもりきりだった。
それかベルナール公爵邸を往復しているだけだ。
以前は移動の馬車の中に窓の景色を見ることが密かな楽しみだったことを思い出す。

(……あんな生活を続けていたら〝フランソワーズ〟はいつか壊れてしまっていたでしょうね)
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