追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
賑わっている街や熱気を感じて、フランソワーズは呆気に取られていた。
立ち止まっていたフランソワーズだったが、ステファンに腕を引かれて人混みの中を歩いていく。
ステファンはよくお忍びで街に来るそうで、街を歩くのにも慣れているそうだ。
「民の声を直接、聞ける機会なんてないからね」
ステファンの博識で行動力があるところも、フランソワーズは尊敬していた。

彼はなるべくフランソワーズを人混みから庇うように歩いてくれる。
フランソワーズは様々な店に視線を向けながら、キョロキョロと辺りを見回していた。

本来の目的はステファンがフランソワーズにプレゼントするためにドレスショップや宝石店も寄ることだ。
だが、その前に街の様子を見てみでもいいかとフランソワーズが申し出た。
ステファンは「もちろん」と快諾してくれた。

噴水がある広間まで辿り着いたフランソワーズは、ベンチに腰掛ける。
フランソワーズの前を楽しげに歩く人々を見ているだけで、なんだかわくわくしてくる。

ステファンが「少し待っていてくれ」というと、そばにあった露店の店主に慣れた様子で声をかけている。
フランソワーズの後ろには、変装したイザークやノアの姿があった。
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