追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
そう言ったステファンは困ったように笑った。
フランソワーズは彼のこの顔に弱い。
ステファンの可愛らしい一面は、きっとフランソワーズしか知らないのだろう。
恥ずかしさを隠すように下唇をキュッと噛んだ。
視線を逸らすフランソワーズを逃がさないと言いたげに、ステファンが顔を近づける。


「フランソワーズにドレスを贈れるなんて夢みたいだ」

「……え?」

「なんでもないよ」


聞き返すも、笑顔で誤魔化されてしまう。
ステファンはフランソワーズをエスコートしながら歩いていく。
そして共にソファに腰を掛けた。


「それに、こんな風に女性に何か贈りたいと思ったのは初めてなんだ。迷惑だったかな?」

「いえ……そんな」


ステファンの声が耳元で聞こえる。
嬉しいことばかり言われるため、心臓が跳ねるように高鳴っていた。

(こんなことを言われたら、断れるわけないわ)

それにフランソワーズもセドリックと買い物に行ったり、ドレスを選んだことがないため初めての経験となる。
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