追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
「まさかオーダーのドレスもそうしてくれているなんて嬉しすぎてしまって……」

「あの……はい」

「フランソワーズは何色でも似合うと思ったけど、君が選んだドレスの出来上がりがますます楽しみになったよ」

あまりの甘酸っぱい雰囲気に、店員たちも二人を応援するような形で温かく見守っていた。
その後も、二人で照れつつもフランソワーズはアクセサリーや髪飾りを選び終えた。

終わったと思うのと同時に襲い来る疲労感にフランソワーズはフラリとよろめいてしまう。
ステファンもそれには心配そうにしつつも、顔を覗き込んでいる。


「フランソワーズ、大丈夫か?」

「少し休ませてもらえますか?」

「もちろんだよ」

「はい。なんだか疲れてしまって……」


緊張からなのか、刺激が強すぎたのか、ぐったりとしてきたフランソワーズは少し椅子で休ませてもらっていた。
まだ逞しい腕に抱かれた感覚が残っている。
フランソワーズは頬を挟み込むように、ひんやりとした手のひらを当てた。

店員がフランソワーズの前に、水や紅茶やクッキーを用意してくれた。
フランソーズはグラスに入っている水をゆっくりと飲み込んでからホッと息を吐き出した。
それからレモンが浮かんだカップに入る温かい紅茶に手を伸ばす。
今はその気遣いがとてもありがたいと思えた。
するとステファンが部屋へと入ってくる。
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