追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
父に聞いた話だが、フランソワーズがセドリックの婚約者になる前のこと。
シュバリタイア王国の王妃は、とても大切な公務以外は出席することがなかったらしい。
または途中で抜けて国に帰ることもあったそうだ。
今ではすべての公務に参加して、パーティーにもよく顔を出している。
つまりフランソワーズの前には王妃が聖女として、その役割を果たしていた。
フランソワーズも次期王妃として、国にとって大切な役割を引き継いだのだろう。

それなのにセドリックは公の場でフランソワーズにあのような辱めを与えたのだ。
シュバリタイア国王と王妃がいたらまた違う展開になったのだろうが、いない時を狙って仕組まれたに違いない。
隣にいたマドレーヌという少女が、この事態を引き起こしたのかもしれない。
セドリックはマドレーヌに心酔している。一目見てそう思った。

彼女はずっと辛い仕事を押し付けられたままだったのだろうか。
自らを犠牲にしてきたが、妹に居場所を取られてしまい、両親に味方されることもない。
フランソーズの心は死んでいたが、フェーブル王国で徐々に感情を取り戻しているような気がしていた。
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