追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
フランソワーズの努力の上にシュバリタイア王国での幸せが成り立っていた。
信じられないことにあの場で彼女に手を差し伸べる者が誰もいなかった。
ステファンはあまりにもひどいフランソワーズの扱いに、今思い出しても怒りが湧いてくる。
 
万が一があってはならないと、騎士たちにシュバリタイア国王のことをずっと探らせていた。
彼らは数週間経ってからフランソワーズを必死で探しはじめた。

ステファンが気に入らないのは、フランソワーズがいなくなった直後は誰も動くことはなかったという事実だ。
家族も国もフランソワーズの代わりがいればいいと、一度は切り捨てた。
それなのに今になり、国が危険に晒されているからフランソワーズを必要としているのだ。

(こんなこと……許せるわけないだろう?)

恐らくセドリックの隣にいたマドレーヌという令嬢を含めて、他の聖女たちにはフランソワーズの代わりを満足に果たせなかったようだ。

ステファンは奥歯を噛み締めながら苛立ちを堪えていた。
フランソワーズの笑顔を平然と奪い取っておきながら、彼女に頼ろうとすることが気に入らない。
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