追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
それにこちらが悪魔で困っている時にシュバリタイア王国はこちらに手を差し伸べることはなかった。
それゆえに『フランソワーズは我々が保護している。助ける義理はない』と返事を返したそうだ。
しかし父もシュバリタイア国王の必死な様子に危機感は感じているらしい。

それなのにシュバリタイア国王は『一度でいいからフランソワーズと話をさせてくれ』『フランソワーズが必要だ』そう言ってと引き下がろうとはしない。
大量に送られてくる手紙を無視していると、仕舞いにはフェーブル王国に聖女が誘拐されたと訳わからないことすら言いはじめた。
それほどシュバリタイア王国は追い詰められているのだろう。

(フランソワーズは渡さない。もう二度と彼女を傷つけないと誓ったんだ)

先ほど宝石店で買った指輪が入った小さな箱を取り出した。
フランソワーズが『ステファン殿下の瞳みたい』と言ってくれた青い宝石がついた指輪だ。
指輪を手に取ってから、フランソワーズの右手の薬指に嵌めた。
気持ちよさそうに眠るフランソワーズは、笑みを浮かべているようにも見える。

(僕が必ず君を守ってみせるから)

その固い決意を胸にステファンは指輪を嵌めたフランソワーズの手に口付けた。



(ステファンside end)
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