追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜

四章

(マドレーヌside)

フランソワーズがいなくなって一カ月が経とうとしていた。
シュバリタイア王国は大混乱に陥っていた。
マドレーヌは自室に引き篭もりながらガリガリと爪を噛むことしかできない。

(なんで……!?なんでわたしの力で宝玉が壊せないの?こんなの物語通りじゃないわ!変よっ、絶対におかしいわ)

フランソワーズを国外に追放したあの日、マドレーヌは物語通りに進んだことを喜んでいた。
しかも物語の結末よりもずっと早く終わらせることができたのだ。

フランソワーズがいなくなり、マドレーヌは初めて宝玉の間に足を踏み入れた。
いつも悪魔を祓うように祈りを捧げたものの、物語のようにうまく宝玉を浄化できないことに気がついたのだ。

(ど、どうして?わたしはフランソワーズよりも強い悪魔祓いの力を持っているはずでしょう?)

いくら祈っても宝玉は黒く澱んだまま、うまく浄化することができなかった。
外で待っていたセドリックには『初めてだから』『疲れていたから』と言い訳して、彼を無視するようにベルナール公爵邸に帰った。
しかしそんな理由ではないことはマドレーヌ自身が一番よくわかっていた。
マドレーヌでは明らかに力が足りていない……そう頭によぎった。
だがシュバリタイア国王や王妃の前で、宝玉が壊せるとまで言っておいて、今更『できませんでした』なんて言えるはずもない。
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